おいしいスコーネ

スウェーデンの南端、スコーネ地方のおいしいもの、おいしいお店を紹介します

スコーネの豊かな食・3冊の料理本から

スコーネでは多くの人が「スウェーデンで一番食べ物がおいしいのはスコーネ!」と思っているとひしひしと感じませんか?

「スコーネ一番おいしい説」の真偽のほどは定かではありませんが、北の方と比べれば気候も温暖(?)で、豊かな土壌。大陸に近くて他の食文化の影響も受けているなど、この地方には食べることに関する高い関心があるのは確かです。

今日はスコーネの食にまつわる本で、私のお薦めの3冊を紹介します。

また、昔に出版された本でもう本屋では見つからない本の探し方についても最後にご紹介します。ではいざ、マルメの食の本から!

『Malmö COOKING』

北欧で女性として初めてミシュランの一つ星に輝いたスターシェフ、ティッティ・クヴァーンストローム(Titti Qvarnström)が2017年に出版したのがこの『マルメ・クッキング(Malmö COOKING)』。

ティッティがこれまでたどってきた道、マルメへの愛、そして彼女の独創的なレシビが詰まっています。でもこの本の特色は、ティッティの話以外にも、今のマルメの食を代表するクリエイティブな料理人へのインタビューがたくさん掲載されていること。

本は「工業港湾地区」、「アスファルトと胡桃」、「マルメ・クッキング(Bloomを辞めたティッティとその仲間たちの新しい食プロジェクト)」、「179の国々から」、「マルメハッタン(最近できた高層ビル群にマンハッタンをもじって)」の5つの章からなっています。

インタビューに登場するのは伝説のレストランTrioを閉じた後、世界で一番のランチレストラン(!) Saltimporten Canteenを元港湾地区の端っこ(というか先端!)で2013年から経営しているオーラ・ルンディンとセバスチャン・ペーションの必殺料理人コンビだったり、定評ある伝統の広東料理レストランKin Longの若旦那チェン−チュン・ウォンさんや、Saikoのポンテュス・ヨハンソン、Bastardのアンドレアス・ダールベリ、Mat- & Chokladstudionのジョエル・リンドクヴィストさんなどなど。今、食で盛り上がっているマルメの原動力となってきた人たちばかりです。マルメでチェックしておきたい料理人が多くリストアップされたギュッと詰まった内容です。

ちなみに上のレストランはすべてお薦め。Saltimportenは一般の人には辺鄙なところにあるけど、わざわざ行く価値はあります!
(下は地元紙のレストラン評がインスタにアップされたもの。)

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ティッティの本は、2月の本の大バーゲンセールBok Reaの時にはセールにもなっていました。今はまた以前よりは少し安めの価格でネット本屋でも売られています。

www.bokus.com

『Lunds Unversitets Kokbok』

マルメが労働者と移民とコンクリートの都会なら、ルンドは学生と学問と広大なキャンパスの小都市。こちらの本は2011年に出版されたものですが、私はつい最近、町の図書館で見つけました。これがオモシロイ!

本は、大学の年間行事にまつわる食を1月から12月まで季節に沿ってめぐる話を縦糸に、その間に各学部の著名な教授たちがそれぞれの学問分野と食との関わるにまつわる話を書いたエッセイを横糸として構成されています。

スウェーデン語なのでちょっとハードルが高いけど、ルンド大学に留学生としていらした方が大学の行事を食べ物と一緒に後で懐かしく思い出すにはいい本かもしれません。

出版当時にルンド大学学長であったペール・エリクソンの冒頭の文章を読むと、なるほど学問と食の関わりのなんと深いこと!総合大学であるルンド大学で学ぶことのできるおよそすべての学問が「食べること」となんらかの関係があることに改めて驚きます。

栄養学など関係性が誰の目にも明らかなものから、農学、獣医学はもとより、水源、エネルギー源、運輸に関わる学問や科学、工学、ITまで。さらには政策、法律、心理学、文学、神学など、関連性がないものはないといってもいいくらいかも。

また、毎年3万5千人もいる学生たちの絆を強くするのは、学生寮で一緒に作って食べたご飯であったり、文化祭(カーニバル)でのお祭り騒ぎや、大きな式典の後のちょっとかしこまったパーティーだったり。そういう意味でも食べることは大学とは切ってもきれない関係。

本には、きちんとしたパーティーで提供される伝統的で手のかかった豪華なお料理のレシピから、簡単なもの、国際色の高いものまで多彩。下の写真にあるのは今回初めてレシピをみた、今、シーズンのグズベリの漬物!グズベリはこれまでジャムにするくらいでしたが、さっそくこのレシピで作ってみたいと思います。

一番気さくな食べ物としてはルンド名物Knakeももちろん掲載。そう、これがなくちゃルンドじゃない。

本の中には、前年に特筆する成果を出した研究者を招待して学長が主催する晩餐会や、その年に博士号をとった人たちの博士号授与式の後の記念ディナーなど格式の高い食事会も多く紹介されていましたが、なんといっても私の目を引いたのはこれ!

「スウェーデンでノーベル賞受賞者晩餐会の次に豪華なパーティー!(自称!)」

これは、学生寮のひとつ「ヨーテボリ」が毎年主催する「グスタフ・アドルフ晩餐会(Gustav Adolfs-balenまたの名をGA-Balen)」。

出席の条件は成績や功績ではなさそうですが、出席者は高額の晩餐会への参加費に加え、夜会用のドレスやタキシードの調達などお金がかかる。学生会館の一番大きな会場で、晴れある544人の参加者の一人になるには貯金が必要そうですが、運営実行委員を努めた人はきっと就活が楽ちんそう。それにしてもこんな豪華な晩餐会、ちょっと覗いてみたいですね。

 『Food & Foklife - All the Year Round in Southern Sweden (スウェーデン語版は Året om med Skånsk Mat och Kultur)』

最後の本は2001年出版の本ですが、スウェーデン語の他に英語でも出版されているすぐれもの。私の持っているもの英語版です。

同名の自然保護地区と湖の隣に佇むすてきなお城、ヘッケベルガ城(Häckeberga Slott)に併設のレストランで10年以上に渡り経営とコック長を努めていたサム・へルハーゲルと、ルンド大学の民族学の教授、アンデシュ・サルモンソンの共同作業で作られています。

大学の民族資料室(Folklivsarkivet)に保存されている豊富な資料を使って、スコーネの伝統行事とそれにまつわる料理を丁重に解説しています。お料理はどっしり目のものが多いですが、かなりおいしそう。しかし作るにはちょっと敷居が高いのでいつも眺めるだけで終わってます。

いつかこの本で『バベットの晩餐会』みたいなやつやるぞ!

昔の本を探すには?

さて、上でご紹介したルンドとスコーネの本はもう絶版となっているので、普通の本屋では見つかりません。運がよければ セカンドハンドのお店やサイト、またAntikvariatと呼ばれるちょっといい古本も扱っている古書店で見つかるかもしれません。

古書店めぐりも楽しいと思いますが、効率よく探したかったら大きな古書店が20ほど共同で運営しているサイトBokbösenを使うとヒットすることも多いです。

上の本もこんな感じで見つかります。

www.bokborsen.se

www.bokborsen.se

しかしこの週末も天気がいいので、本探したり古書店に行ってる場合じゃないですね!海よ、海!

最後にスコーネの本を再度パラパラとめくっていて気がついた余談をひとつ。

最近、畑はもう収穫の時期ですっかり茶色。「もう秋っぽいねー」という私に対し「まだ全然夏じゃん」という夫。なにか感覚がずれているとはずっと思っていたのですが、スウェーデン人、スコーネの人はこういう景色を見ると「夏だ!」と思うのだ!ということがよくわかりました。私には秋だわ−、この写真!

 Enjoy your weekend!

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