スコーネで食べる毎日の食事。すてきなレストランやカフェ、デリカテッセンのテイクアウトもよいですが、なんといっても圧倒的に食べる回数が多いのは自分で作るおうちご飯。
ジャガイモってこんなにおいしいものだったっけ?と開眼したり、森で採りホーダイのキノコ狩りに夢中になってみたりもいいですが、毎日じゃがいもとキノコでは生きていけません。和食っぽいものだって食べたい。普通にスーパーで買えるもので。
最近はアジア食材店に行けば、日本のナショナルブランドのもの(キッコーマンのお醤油とか、ひかり味噌のお味噌とか、おかめの納豆とか、おたふくのお好み焼きソースとか、味の素の冷凍餃子とか)を普通に買うことができますが、今日は和食関連食品も充実の、北欧のエコブランドをご紹介します。
どれも少し大きめのスーパーに行けば普通に売られていて、安心のエコ食材である点がお薦めです。
Kung Markatta
スウェーデンで全国的におそらく一番出回っているお豆腐といえば、このクング・マルカタ製(丸かった王、ってどんな王様やねん!と思った人、答えは最後に)。このブランドは早くも1983年に、スウェーデンの中堅都市オレブロでレナート・オールソンにより設立されました。
同年ロンドンのクシ・インスティチュートでマクロビオティックを学んで戻ってきたばかりのレナートは、安心して食べることのできる食材、またマクロビで使われる和食関連の食材がまったく手に入らないことに気付きます。
まずは自分が食べたいものをロンドンから取り寄せて周囲の人々に振る舞っているうちに、確かな需要があることを確認したレナートはコンテナ単位で輸入を始め、ストックホルムまででかけていった行商(!)でも瞬くうちに成功を収め、スウェーデンのエコ食材の分野の開拓者となり、現在に至ります。
Kung Markattaのホームページより。日本語の名刺クン・マカータってなってますね。
スウェーデン人にMISOとはなにか?海藻は食べるもので火をつけて吸うものじゃないということを税関で教え、今日、私たちが問題なくこうしたものを持ち込めるのも、レナートがパイオニアとなって開拓してくれたおかげです(このような訳のわからない食品を説明するため作った資料が事典のように重宝されたそう)。
クング・マルカタは食材がエコであるだけでなく、現場の労働環境や輸入の際の運輸手段にも気を配り、トラックや航空便を使う前に電車や船で運ぶ手段が取れる時には後者を選んでいます。トマトの缶詰もイタリアから電車で運ばれてくるなんてちょっとゆったりしていいですよね。
確かに普通の他の製品に比べるとお値段高め(というかものによっては相当高い!)クング・マルカタ製品ですが、エコ食材、フェアトレード、運送での二酸化炭素ニュートラル、添加物なしという製品が殆どで、これだけの価値のあるものを提供しようとすると、価格は高くなるのは避けては通れない。逆に、なぜ他の食品はそこまで安くできるのかを考えてみるのもいいかと思います。
スウェーデンでよく使われている認証マークの説明です
私がよくお世話になっている食材はずばりお豆腐(Tofu Naturell)。え、あんな固くてボソボソの豆腐、よく食べれるなって?
実はこの豆腐ほど、キーマカレーに似たベジタリアンのドライカレーをつくるのに適したものはありません。水切りいらずで、頑丈な有機豆腐でいかにもタンパク質たっぷりでいい感じです。
一方で日本人にはお薦めできないのはUmamiブイヨン!こちらの人はうまく使えるのかな?でも普通の日本人は買わなくてもいいですよー。(気が小さいので小文字)
あ、王様はSun Wukongといい、そう、孫悟空のことです。自分を変革することで他者の変革を助けるという精神につながるものという由来とか。よーくみると、ロゴマークの王様の顔はサル(でもほとんどわからん。。)
Kung Markattaの最近の日本食関連新製品情報はこちら(生味噌、絹豆腐など)
Yi-Pin Tofu
で、普通に豆腐が食べたい時はどうする?
豆腐は怪しいものから超高級なものまで(お値段が高級でもおいしいとは限りませんが)いろいろ売られていても、ながらくエコ豆腐は孫悟空様に頼るしかなかったこの状況に、救世主が現れました。
Hemköp、WillysやCoopといったスーパーで買えるYi-Pin Tofuは、日本から取り寄せた豆腐製造マシーンで、フランスのエコ大豆を使いストックホルム郊外でフレッシュなお豆腐を作ってくれています(本当にありがとう!)。
種類も「とろける絹豆腐」から「かたすぎる木綿」(製品名は意訳ですw)まで、いろいろあって、なんと!(薄い)厚揚げまで作ってくれているのがもう最高です。値段もなんとか週に1、2回は買えるような許容範囲。みんなでもっと一生懸命買えばもっと安くなるかも(妄想?)
見かけたらぜひ買ってください!
あ、パッケージデザインも最近変わったみたいですね。びっくりした。厚揚げはもうないのかな?
URTEKRAM
さて、次はこのあたりでもよく売っているデンマークのブランド。
ウルテクラムは食べ物よりも、シャンプーなどのコスメタリー製品を愛用している人が多いブランドかもしれませんね(私の髪にはこちらのシャンプー、何回かトライしたけどまったく合いませんでしたが、涙)。
本社はデンマーク北部のMariagerにあり、商社としても他のエコロジカルなブランドを幅広く扱っており、またNutanaというもうひとつのオリジナルブランドもあり、年商77億円(2016年)くらいのちょっとした大きさの会社です。
早くも1972年に、ウルテカラムの創始者でエコな運動に関わっていたリスベットとロニーの二人がコペンハーゲンで開いたハーブのお店(う?なんか怪しい?)がすべてのはじまり。
その後90年代になってエコな製品への関心が幅広い層で高まり、Coopがエコ製品を本格的に売り始めた時に、デンマーク中の普通のスーパーで普通の人が普通に買えるようになったのが、ウルテクラムの製品です。
今年のサステイナブルブランドインデックスでもトップに
いまではスウェーデンでも、取扱品目数に違いはあっても、ほとんどのスーパーで手に入るのではないかと思います。
ブランド名は古いデンマーク語でスパイスやハーブの行商人などを指す言葉[urtekræmmer]からとられているそうです。
こちらの商品では私は、本当に長い間「Shoyu」を使ってました。この2018年のスウェーデンではなく2000年代初頭のルンドで、有機栽培の大豆でつくったお醤油がスーパーで買えるなんて夢のようでした。
それからずーっとほぼここの醤油一本でしたが、もしかしたら他にもおいしいお醤油があるのかも?と思って、今は他のおいしそうな醤油もいろいろ試している最中です。
ウルテクラムでその他のお薦めはスパイス類。食品をえらぶ理由として間違っているのかもしれませんが、容器がかわいい。しかもエコなスパイスって他にそんなにないですから。
コスメタリーは前述のように、私はあまり合わなかったけど日本の方でもとても気にいってずっと愛用されている人を何人も知っています。まだ使ってなかったらぜひ一度試してみてください。
Renee Voltaire
最後は、そのオシャレさでは群を抜くレネー・ヴォルテール。孫悟空が有機食材の王様なら、彼女はスーパーフードの女王?
創業は2005年で、創業者のレネーは起業家に与えられる数々の賞も受賞して、本も何冊も出しているパワフルなイノベーター。現在100品目以上の製品を北欧の1000店以上のスーパーや健康食品店などで販売しています。最近は映画館のお菓子コーナーでもよく見かけますよね。
Kravなどのエコ認証やフェアトレードなどの社会的責任認証獲得率は上のブランドたちに比べると高くないももの、ビーガンや乳製品フリーへのこだわりや、また斬新なアイディアの新製品開発に特徴があるブランドです。
例えば、日射の少ない秋からの北欧では圧倒的に不足するビタミンD。オメガ3とのサプリメントを常用している人も多いかと思いますが、良質のオメガ3は魚由来の物が多くビーガンの人にはNG。レネー・ヴォルテールでは地衣(見かけが苔などににている菌類の一種)由来のビタミンDの販売しています。
また、日本からすごくおいしい「有機たまりせんべい」を輸入して販売してくれているのもこのブランド。私は普通にほうじ茶と楽しんでいましたが、ある時パッケージを読んだら「クリームチーズと一緒にどうぞ」みたいな説明があって、、、はい、そんな感じの斬新さです。
こちらのブランド、私はいつも見る度にかわいいなぁとは思うものの、お煎餅くらいしかかわないのですが、日本で買ったふりかけが切れた時、夫がここのFurikakeを一生懸命買ってました。このふりかけ、ごま度が高くて(ただの胡麻ミックスじゃないか、と私は思った)あっさりしてますが、ずっと売られ続けられているところを見るとファンがいるんですね、きっと。
ストックホルムにはローフードのサラダなどをイートイン、テイクアウトできるお店もあるみたいなので、今度行った時にはぜひ試してみたいです(以下、お店の紹介ビデオです)。
他にもいろいろあったような気もしますが、今日はこの辺で〜。
みなさんも気に入っているものがあれば、ぜひ教えて下さい。
では、Have a nice weekend!